角谷沙奈美 ドラマチックな日々 of Gallery Forgotten Dreams

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Art Gallery
Gallery Forgotten Dreams





角谷沙奈美 ドラマチックな日々


疾走-500pix.tif


2016年 1月 9日(土)~ 1月31日(日) 
12:00 ~ 19:00
月・火休
但し、1/11(月・祝)は営業

オープニング・レセプション 1月9日(土) 17時より




            さりげなく茂る樹々からざわざわした何かが迫ってくる。
            何気ない日常がドラマに変わろうとする瞬間だ。

            角谷作品では、日常どこにでもあるような場所、シチュエーションがもっぱら題材として選ばれ、
           そのある一瞬がストップモーションのように切り取られ描き出される。
            そこで人は何かの動作の途中であったり、移動しているさなかであったり、何かに乗っている
           状況であったりする。
            そのまさに動きの途中段階の無作為な瞬間が選ばれているため何とも不安定であり、それに
           よって強い印象を与えられる。と同時に、そのことによりこの瞬間の後に続いていく時間と動きを
           連想させ、自然と画面の「先の世界」を想像していくことになるのだ。

            また、「物言う植物」も大きな魅力の源である。
            Gallery Forgotten Dreamsでの最初の個展「ふりむけば、」では、ヒマラヤ杉の部分を描いた
           中品(606×727mm)の作品一点だけで壁一面を支配出来た。
            それだけ植物を力のある存在として描き切って見せたのである。
            ベランダで育てられているプランター花壇がルソーの描く密林のように感じられるような作品も
           数多く生み出された。
            近時その表現は更に深化を極めている。
            最近の作品には、何だか奇妙な印象を見せる枝振りの樹々がしばしば描かれている。
            その茂みからは目には見えないが濃密なエネルギーのようなものが迸りこちらに迫ってくる。
            まるで観る者に何かを語りかけてくるように。 
            何かが起きるのかはたまた何も起きないのか、ここから次の展開をはらはらしながら見守り
           想像する、そんな「ドラマの予感」のようなものを感じてしまい、ここでも絵画世界の中にぐい、と
           引き摺り込まれてしまう。

            こうしたダブルの仕掛けによって、観る者はいつの間にか画面に釘付けとなり虜になっている。
            そうして夢中になって絵画世界を彷徨っているうちに、日常と非日常には明確な境など無く
           ふとした瞬間にそれを乗り越えてしまうのだ、ということに図らずも気づかされたりする。

            色遣いも独特でありながら、最近では自然さも増していて絶妙なバランスを見せている。

            3年ぶりの個展となる今回、一段と玄妙さを増した角谷マジックに身を任せ、ありそうで無い
           貴重なひと時を是非御体験いただきたい。



作者のことば

           夜、いつもの歩き慣れた家路を俯きながら早足で歩く。
           ふと自分の影に違和感を覚えて立ち止まり周りを見渡すと、見慣れたはずの家々や
           庭の木々が微妙に違って見えた。
           街灯がLEDに変わったのだ と気がつくまでに少し時間がかかった。

           LEDの光はスポットライトのように、ありきたりな住宅街をドラマチックに
           照らし出す。
           すれ違う人々。ハンドルにスーパーの袋をたくさんぶら下げ走るお母さんや
           音楽をまとって歩く高校生も、くっきりと綺麗な影を連れていた。
           スポットライトを浴びて歩く人々を眺めながら
           「みんなそれぞれのドラマの主人公を生きているのだな」
           と、どこかで聞いたことのあるセリフが頭に浮かぶ。少し得意になって舞台のセットのような景色の中を
           また歩き出した。

           まるで異物のように感じた新しい光は日常にすぐに溶け込み、あの時感じた違和感はもうない。
           それでも、ちょっとした出来事や心の変化で、世界は見え方を変える。
           世の中は美しいもので溢れているし、つまらない人生なんてないはずだ。
           けれど淡々と過ぎてゆく日々の生活の中で、私はその事をあまりにも簡単に忘れてしまう。
           光の残像のような曖昧な存在。その輪郭をなぞるように他愛のない日々を描こうと思う。

                                                      角谷沙奈美





かくたにさなみ  Profile

1982年7月青森県生まれ 神奈川県育ち
2007年3月女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画研究領域 修了

受賞
2010 シェル美術賞 入選

個展
2011年6月 「角谷沙奈美展」銀座ギャラリー女子美 東京銀座
2012年2月 「どこへでもゆける」潺画廊 東京世田谷
2012年5月 「ふりむけば、」Gallery Forgotten Dreams 東京清澄白河
2013年4月 「花とゆめ」Gallery Forgotten Dreams 東京清澄白河
2013年11月 「私の日常、誰かの日々」潺画廊  東京世田谷

レジデンス
2015年 BankART Artist in Residence 主催:BankART1929 共催:横浜市観光局




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